2019年 中国高速鉄道3,927kmの旅 3日目 ~vol.2 陝西歴史博物館へ行く(後編)~
陝西歴史博物館は中国史の宝庫
思った以上に展示内容が充実していて、長時間の滞在となりました。
前編では古代から漢の時代までの見学内容について書きましたが、後編では隋唐以降の見学内容を書いていきます。
陝西歴史博物館の見学(続き)
11:00、第三展厅にやってきました。
常設展覧の最後の部屋です。
隋(581年~618年)、唐(618年~907年)
隋唐となっていますが、展示品の多くは唐代の物でした。
唐代の煉瓦が展示されていました。
2枚目の写真のように、獣の顔を描いた煉瓦もありました。
蓮の花をかたどった瓦です。
金メッキが施されたドアノブです。
唐代くらいになると、出土品の中にきれいに色が塗られた物が見受けられます。
この縦長の物体は貞順皇后(武恵妃)の棺を中に入れた箱(外棺)で、女中が描かれています。
赤い衣服で男装した女中の壁画です。
隋唐時代における農牧業の展示スペースにやってきました。
動物の陶器や道具などが展示されていました。
唐代になってシルクがますます洗練され、これまでの時代に無かった色や模様のシルクが作られていました。
銅鏡の展示スペースです。
唐三彩、学生時代に世界史で習った記憶があります。
唐時代の陶器ですが、金属を顔料に、酸化の炎色反応を用いて彩色されるそうです。
基本的に三色の組み合わせが多いことから、三彩と呼ばれているそうです。
写真でもある程度伝わると思いますが、発色の綺麗さに感動しました。
こちらは磁器の展示です。綺麗な白色が特徴です。
説明を読むと、河北で作られた磁器は白色で、浙江で作られた磁器は青色だそうです。
「南青北白」というのは、地域による磁器の色の違いを表す言葉です。
確認しづらいですが、オシドリと蓮の模様が描かれた金製の碗です。
金製のボウルです。
商業と徴税についての展示スペースです。
当時使われた貨幣が並んでいました。
開元通宝( 开元通宝 )が複数ならんでいますが、左から1列目が金貨の開元通宝、2列目が銀貨の開元通宝、4列目が銅貨の開元通宝です。
シルクロードの図(陸と海)です。
綺麗なガラス製品がありました。
この時代に作れるだけの高い技術があったんですね。感心しました。
壺も多数展示されていました。
唐代の展示品は非常に数が多く、ここでご紹介したのは一部です。
とても見ごたえがあります。
唐以降(907年~1911年)
唐以降は中国の政治の中心が東へ移り、陝西は都としての歴史が終わりましたが、西北地区における政治・経済・文化の中心地であることは変わりませんでした。
王朝が宋、金、元、明、清と変遷した中で作られた物が展示されており、一部の物について写真のみ掲載します。
どの展示品も中国の文化の独自性が感じられ、時代を追うごとに質の高さが感じられました。
ここまで数多くの貴重な展示品をご紹介しましたが、パスポートの提示で無料で見ることができます。
非常に良心的な博物館です。
このまま大唐遺宝展へ進みます。
大唐遺宝展へ進む
11:55に、第四展厅に移動し大唐遺宝展を見学しました。
ここでは、1970年10月に西安市何家村で発掘された唐代の貴重な遺物(金銀器、貨幣など)が展示されています。
出土した文物の価値について書かれています。
米の価値に直すと300万斛で、300万斛は3億升と置き換えられるようです(1斛=10斗=100升)。
想像できないほどの価値の高さであることが分かります。
金箔が施され、馬が描かれた銀製のやかんです。
2つの桃を合わせた形の皿ですが、中にキツネが描かれています。
日本の和同開珎を見る
旅行前に調べていた時に、日本からもたらされた貨幣も展示されていると知ったので、この展示スペースを楽しみにしていました。
中国における貨幣の歴史です。
春秋時代からの実物が展示されているのが凄いです。
外国の貨幣については、このような地図上に展示されていました。
西域の貨幣もあったことが分かりますが、写真の右端にライトアップされているのは日本の貨幣です。
奈良時代に作られた和同開珎です。
銅銭ではなく銀銭です。
遣唐使が日本から献上した物になります。
708年に発行された和同開珎は、唐の開元通宝(621年発行)の影響を受けていて造りが似ています。
日本では683年頃の発行とされる富本銭が最古の貨幣ですが、流通した貨幣としては和同開珎が最古のようです。
その意味でも希少な物であるということが書かれていました。
博物館を後にする
12:50に見学を終えました。
9:00からだったので、4時間近く見学していたことになります。
非常に内容が充実している博物館でした。
「商品部」とありますが、お土産屋です。
特に何も買わずに帰りました。
偽物の鹿角巷(THE ALLEY)
博物館の外に出て歩いていると、鹿角巷(THE ALLEY)を発見しました。
ちょうどのどが渇いていたので買って飲むことにしました。
後日談ですが、旅行を終えて帰国した後、普段拝見しているブログで鹿角巷の偽物の店が多いことを知りました。
まさかと思って調べたら、ここはまさにその偽物の店でした。笑
(大雁塔北広場から小寨東路を少し西に行った位置にあります)
鹿角巷の店には行ったことが無かったのですが、よくよく考えると容器が違うように思います。
ただ美味しかったので、その時は満足していました。笑
西安駅へ行く
13:15頃、最寄りの大雁塔駅から西安駅( 西安火车站 )へ向かいます。
地下鉄4号線に乗ります。
昨年12月に開通したばかりの路線なので、駅や車両がきれいでした。
ただ、本来は大雁塔駅から北へ6駅行くと西安駅なのですが、西安駅の開業だけ遅れていて通過扱いになっていました。
1つ手前の五路口駅で降りて、自転車で西安駅まで行きました。
【動画】西安駅付近
(※クリックすると再生します)
13:42頃、西安駅に到着しました。
駅前の広場は大きな荷物を持った人がたくさんいて、西北地区の中心都市であることを実感しました。
西安駅は、駅のすぐ近くに城壁があることも特徴です。
撮った写真のアングルが良くないですが、駅舎と城壁の近さはお分かりいただけると思います。
【旅行記の続き】